2006/05/08

哀しい事件

哀しい事件

1997年2月12日に、高知県の山本病院で、20歳前後の看護者による患者さんへの暴行致死事件が起きました。トイレに閉じこもった患者を両足を持ち上げて、壁に頭を打ち続けるような暴行を加えたうものです。

私たちは、精神保健福祉法に変わり、精神病院の体質が変わるように期待していました。しかし、私たちのほとんどが経験している精神衛生法時代と、全く変わっていないことに気づかされ驚いています。


精神保健法の時代には、私たちは歩く不動産といわれていました。一度閉鎖病棟に入れられるとよほどのことがない限りたいいんは出来ませんでした。


治療の名目で、リンチを受けたものも少なくありません。独房、電気ショック、暴行、強制労働などが治療の名で、平然と行われていたのです。


皆さんの記憶に残っていると思いますが、あの宇都宮病院は特殊な病院ではなかったのです。全国の多くの病院は大なり小なり宇都宮病院と同じ事をしてきたのです。


その反省に立ち精神保健法、精神保健福祉法に変わってきたのです。しかし、医療現場は全く変わっていなかった言われてもしょうがないと思います。


私は亡くなられた患者さんには本当に気の毒なことをしたなと思っています。しかし、もっと可哀想なのは、暴行致死事件を起こした人たちです。20歳前後の身で責任ある対応を期待するのは無理だと思います。


おそらく山本病院では恒常的に暴力沙汰があったのだと思います。暴力を是認する職場で、夜間2人だけでは、冷静な判断が出来なかったのだと思います。


本当に追求されなければならないのは院長です。病院の管理責任者として恒常的な暴力沙汰を見て見ぬ振りをしていたのは、許されないことだと思います。


この様なことが法治国家で許されるはずはありません。しかし、これが現実なのですから私たちは私たちで自分の身を守らなくてはなりません。


私たちは、時には入院しなくてはならなくなる可能性を秘めていると言っても良いだろうと思います。その時に慎重に病院を選ばなくてはなりません。仲間の情報交換や助け合いがより大切になると思います。


今回のことで、高知県の精神保健福祉センターの竹島所長と話し合いました。私たちが安心して入院できる病院を、責任を持って紹介すると約束して下さりました。


私たちは精神医療の遅れを、身をもって体験しています。しかし、社会は私たちを受け入れるように少しづつ変わってきています。


未来に希望を持って1日1日を誠実に生きていくことに心がけましょう。