2006/05/22

パキシルの効用

パキシルの効用 2006年05月22日
 私の人生はパキシルを飲み始めてから激変しました。それまでは寝たり起きたりの生活を続けていました。週に2,3回はトリプタノールの点滴を受けに病院に通っていました。それまでSSRIのルボックスを服用していたのですが、主治医から同じSSRIのパキシルを勧められました。私にはオレンジジュースの原料がオレンジからミカンに変わった程度の認識しかありませんでした。ある日、点滴のために病院に通わなくなってきた自分に気づきました。鬱、鬱の私には珍しく躁になったのかと思いましたが,主治医は笑いながら処方箋を指さし、パキシルの効用だと説明してくれました。
 寝たり起きたりの生活で一生を終える覚悟をしていた私には青天の霹靂でした。鬱状態で過ごした30年間の間、私の感情は凍り付いていましたが、少しずつ溶け始め、感情が甦ってきました。次に脳の機能が少しずつ回復してきました。それは雪解けの大地に花々が咲き乱れるような世界でしたが、統一性がないのです。きれいな花々が無秩序に咲き乱れているだけなのです。
 冬眠していた30年間の間に、感情や理性をコントロールする力が失われていたのです。30年間のブランクは大きいものでしたが、冬眠していた脳が甦ったのですから当たり前と言えば当たり前です。特に感情は鬱,鬱状態では凍結していたのが、突然解放されたのですからコントロールをするのが大変でした。
 理性が30年間のブランクを取り戻すためには,意識的なリハビリが必要でした。漫画本すら読めなかったのですが、毎週3,4冊の本を図書館から借りだしました。十津川警部や浅見光彦などの軽い小説から読み始めて現在は進化生物学や歴史のような学術書に近い本が読めるまでに回復してきました。ブログを立ち上げたのもリハビリの一環という側面もあります。
 私の体質がパキシルに特異的に反応したのかも知れませんが、医学の進歩は日進月歩です。新しい薬を服用し続けさえれば、健康な人に近い生活を送られるこ人の数はこれからますます増えてきます。薬の効果が芳しくなく病に苦しんでいる人も、人生を諦めるのではなく医学の進歩に期待しましょう。

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