2006/06/19

市民運動の輪を広げよう

 私が福井県水産試験場に就職し、日本で初めての「原子力発電所からの温排水が生物に与える影響に関する研究」に携わっていた時に、母校である京大の魚災研(反原発グループ)が、原子力発電所周辺で私に一言の断わりもなく「試験場のは堀さんも原発に反対しています」と書いたビラを配布しました。
 ある日、突然総務課長から呼び出され、ビラを突きつけられました。私には青天の霹靂で、前後の事情が全く理解ず、ただ身に覚えがないと言うしかありませんでした。「知らなかったのなら仕方がない」、不問と言うことになりましたが、理解してくれたかどうかは疑問です。今から振り返ると、就職して間もないときから要注意人物とされていたのかも知れません。
 私は確かに原発に反対していましたが、現場を知らずただ観念論だけが先走っている現状に対して、科学者として批判を抱いていました。先ず現場に出て何が起きているか見極めるのが科学者としての使命だと思い、日本で最初の原発がたった福井県に就職したのです。
 魚災研の連中は全共闘運動しか経験していないので、反原発のためならば何をしても許されると信じ、社会経験がないので彼らの行動が私をいかなる立場に追い込むかを想像できなかったのです。
 NGOが国際会議で暴れたり、グリンピースが過激な行動をしているのを見ると目を背けたくなります。彼らから見れば敵に見える人たちの中に、彼らと志を同じくする人たちが必ずいるのです。ただ方法論が違うだけです。
 市民運動の特徴は幅広い人たちに働きかけていくところにあります。政治団体と違うのはイデオロギーに縛られない点だと思います。そういう点では、ブログは従来のビラ配りとは違う、市民運動の新しい武器、メディアだと思います。