2006/07/11

子供の時から想像力を身につけさせよう

 世界第2位の富豪で投資家のウォーレン・バフェット氏が世界第1位の富豪のビル・ゲイツ氏が経営するビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金に約4兆の財産を寄付することにしました。
 バフェット氏は金融投資の世界、M&Aで成功し、資産0から一代で世界2位の富豪になりましたが、生活は質素なものだそうです。
 彼は富める者が子孫に遺産を遺すことに批判的で、ブッシュ政権の相続税軽減政策に反対しています。
 彼は富める者が財産を子孫に残すのは、2006年度のW杯出場者の子供に、20030年のW杯を争うようなものだと批判しています。
 バフェット氏は「税金を払って財務省に任せるより、ビル・ゲイツ夫妻の財団はお金の効用を最大化してくれる。私が投資の能力で他人より優れているように、社会還元ではゲイツ夫妻の財団が優れている」と言っているようです。 
 ビル・ゲイツ氏もウインドウズを開発し世界標準OSソフトにしました。マイクロソフト社の創業者として世界一の金持ちになりましたが、彼の大好物はハンバーグで、ジーパンを愛用しています。
 ビル・ゲイツ氏も第一線から引退することを既に決めているので、 世界1位と2位の富豪、アメリカンドリームの体現者が財産を、社会に還元することに決めたのです。
 西郷隆盛が「児孫のために美田を買わず」と言い残したのは有名な話ですが、彼らが財産を子孫に残すよりも、社会に還元する道を選んだのは意味が違います。
 キリスト教国であるアメリカでは人は神の栄光を地上に現すために働き、死ねば地上で得た物を神の元へ返すのが普通だからです。
 彼らがキリスト者であるかどうかは分かりませんが、地上で得た富を社会に還元するのはアメリカではスマートな生き方とされるのでしょう。
 アメリカでは多くの財団が設立され、富の社会還元の一翼を担っています。慈善事業、教育事業、文化事業などを財団が支えています。社会還元は税制面でも優遇され、社会にもバックアップ体制が整備されています。
 例えば、ハーバード大学を始め私立大学の運営費は寄付で賄われ、税金が運営費の多くを占めている日本の私立大学とは性格を異にしています。
 ホリエモンに代表されるヒルズ族は、お金を貯めることが自己目的化してしまったような気がします。彼らには何のためにお金を貯めるのかが分からなくなっていたのではないでしょうか。
 勝ち組になった彼らには、持ちなれないおもちゃを与えられた子供と同じで、財産を使いこなすための想像力が欠如しているように思えます。
 オウム真理教に走った有名大学出身の科学者にも感じたのですが、想像力の欠如した人間、デジタル思考しかできない人間からは人間としての潤いが感じられません
 現代の知識偏重の教育は子供から想像力を奪ってしまったのではないでしょうか。子供の時から文芸作品に親しませ、幅広い教養を身につけさすことが必要だと思います。