2006/07/11

自民党後継総裁をオープンな場で決めよ

 小泉劇場も撤退命令を自衛隊のイラク派遣部隊に出したところで、幕が下ろされようとしています。小泉首相の5年間を一言で言えば、構造改革と日米同盟といって良いだろうと思います。カーテンコールは日米首脳会談でした。
 ブッシュ大統領は盟友小泉首相を異例の厚遇で迎えました。両首脳は「新世紀の日米同盟」と題した共同文書を発表し、自由や民主主義などの普遍的価値観を共有する国同士として、共通の利益を追求していく姿勢を強く打ち出しました。
 「ジュンイチロー」はイラク戦争で国際的に孤立したブッシュ大統領を救い、アメリカを強力に後押ししました。「ジュンイチロー・ブッシュ」は単に政治的な思惑を越え、個人的な信頼関係で結ばれた盟友でした。
 日本人としては初めて大統領専用機エアーフォース1に大統領と同乗し、プレスリーの記念館を訪ねました。アメリカのマスコミにも派手に取り上げられたそうです。小泉劇場のフィナーレとしては最高の花道でした。
 その陰では、橋本元首相が、静かに息を引き取りました。弟の橋本大二郎高知県知事は、断腸の思いの死と形容した死でした。働き盛りの68歳の死でした。政治家の世界の非情さ、歴史の無情さを感じさせられる死でした。
 政治家には、個人の能力では左右できない世界があるようです。天の時、地の利、人の和、と言いますが、政治家には歴史が与えた使命がそれぞれにあるのでしょう。
 政治家小泉純一郎は奇人と言われながらも、沈没しそうになった日本丸を自力走行できるまでにしました。自民党の派閥政治を公約どおり破壊しました。日本を構造改革の嵐が荒れ狂いました。
 小泉改革は見方を変えれば、無血クーデターとも言えるかも知れません。彼に与えられた歴史的使命は日本の疲労したシステムを破壊するところあったと思います。
 奇人小泉純一郎は権力の頂点で自ら舞台を下りました。構造改革関連法案を成立させただけで、国会を延長しませんでした。衆議院の2/3の議席を得ながらも、伝家の宝刀を抜きませんでした。
 小泉流美学は散り際に美を感じさせる日本人的な感覚です。歴史的使命を果たし、後継総裁に日本を委ねるのが彼流の生き方なのでしょう。
 彼の後継者は、構造改革の嵐が吹き荒れた日本を、立て直さなければなりません。先ず都市計画の青写真を描き、仮設住宅の建設と配置を決めなくてはなりません。
 自民党後継総裁は、国民にオープンな姿で争われなくてはなりません。総裁候補はブロック会議で未来の青写真を国民の前に明らかにしなければなりません。もし、談合で後継総裁を決めたら、自民党は国民の支持を失うでしょう。
 小泉流ワンフレーズ政治は稀代のアジテーター小泉純一郎だからできたのであって、後継総裁は国民に対して丁寧に語りかけなくてはならないでしょう。小泉政治が引き寄せた若者を無視した政治をすれば、日本を停滞させる道に繋がります。
 アメリカの大統領選のように、総裁候補が国民に直接語りかける姿勢を貫けば、国民も自民党が変わったと認めるでしょう。日本の政治の未来が自民党総裁選にかかっています。