2006/07/11

「箱物行政」から脱却せよ

 滋賀県知事に嘉田由紀子さんが当選しました。知り合いから同窓生ではないかと尋ねられ、四明会(京大農学部同窓会)名簿を調べてみました。彼女は私の一年後輩で、彼女のご主人が一年先輩で母校の教授をしています。
 彼女は団塊世代以後で、私と彼女のご主人とは団塊世代ですが、共に全共闘世代です。私たちは学生時代を無期限バリケードストが決行されていた京大のキャンパスで過ごしたらしいです。
 私たちの世代は荒廃した学園を見限り、地方の研究機関に就職したり、海外へ出て行きました。彼女はアフリカで半年間現地の人と共に生活したそうですが、それが彼女流の「もったいない」運動の原点になっているのでしょう。
 滋賀県は1兆円近い借金があるのにも拘わらず、数百億円をかけて新幹線の駅を誘致しました。京都から滋賀まで新幹線ならば10分しかかからないところに新駅を誘致しても、健在効果はほとんどないと思えます。借金の利子すら賄うことはできないでしょう。琵琶湖に流れ込む川にダムを造っても、どれだけの意味があるのか理解できません。
 滋賀県民は「箱物行政」にノーを突きつけたのです。日本経済は回復してきましたが、国、地方の借金は合わせて1000兆円になろうとしています 。それにも拘わらず、「箱物行政」を変換できない政治家の常識を疑います。
 夕張市は財政破綻し、財政再建団体に指定されましたが、50年間も借金を払い続けなくてはならないそうです。借金を隠し続けた市長や市の職員も職員ならば 、それを放置した議会も議会です。お金を貸し続けた銀行も銀行です。
 年金を担保にお金を借り続ける多重債務者とお金を貸し続ける悪徳金融業者との関係と全く同じ構造ではないでしょうか。
 総選挙で小泉首相が圧勝したのは、既得権擁護を主張する抵抗勢力に対して国民はノーと意思表示をしたからです。「箱物行政」からの転換を国民は求めているのに、政治家がそれを理解し得ないところが、日本の政治の構造的な弱点です。
 自民党と民主党が相乗りしてのにも拘わらず政治に無関係に過ごしてきた1エコロジストに負けたのは、日本の政治家が世論の動きに対して鈍感な徴です。既に構造改革は政治の世界にも及んでいるのを、政治家だけが気づいていないのです。
 高知県、高知市の財政は本当に大丈夫なのでしょうか。隠れ借金はないのでしょうか。一度財政再建団体に指定されたら、リストラの嵐に晒されます。市民サービスも停滞してしまいます。職員の生活水準も著しく落ちてしまうでしょう。
 高知市が建設したカルポートなどは典型的な無駄遣いの例です。100億円の投資に見合う効果があったなどとはとても思えません。新堀川の上に道路を通すのも、100億円の投資に見合う経済効果を得られるとは思えません。
 高知県知事、高知市長も財政に余裕は全くないのですから、市民サービスを優先し、「箱物行政」から手を引いて下さい。その日を生きることすら自由にならない人たちに対して税金を使って下さい。
 老人問題、障害者問題、教育問題、など今手を打たねば手遅れになる問題はいくらでもあります。
 市民が期待する政策の優先順位が従来の政治、行政の常識からずれてきているのを自覚してください。