2006/07/11

北の将軍様に国際社会の中で生き残るように決断させよ

 北朝鮮がテポドン2、ノドン、スカッド、3種類のミサイルを発射しました。具体的に言えば、アメリカ、日本、韓国、さらにロシア、中国を射的距離内に含むミサイルのデモンストレーションを行ったことになります。
 6カ国協議に参加している国々に対するデモンストレーションは大きな賭けです。常識を弁えた人間ならば絶対にしない賭けですが、北の将軍様は賭けに打って出ました。
 北朝鮮包囲網が強化されても、クリントン大統領のようにブッシュ大統領が対話に応じてくると錯覚したのでしょうか、国内事情が何かあるのでしょうか分かりません。
 日本の対北朝鮮強硬論は勢いづくでしょうし、対在日コリアンに対する政治工作、朝鮮総連と民団との和解も水泡に帰しました。
 万景峰92も入港禁止になりましたし、対北朝鮮に対する制裁措置、送金停止などが具体化するでしょう。
 日米同盟がさらに強化され、対北朝鮮軍事包囲網も強化されるでしょう。日本の世論も国土防衛のために自衛隊を強化する方向に動くでしょう。
 一体全体、北朝鮮はミサイル発射で何を得ようとしたのか理解に苦しみます。あるいは内政問題が表面化したのでしょうか。
 いずれにしろ、日本は核兵器の開発を宣言している北朝鮮が、核兵器の運搬手段も手に入れたことを、実感させられました。
 理念としては、非武装中立もあり得るかも知れませんが、国際政治の前では机上の空論であることが、明確に示されました。
 日本は日米安保条約があるから、外国からの侵略を想定していませんでした。旧ソ連を仮想敵国としてきましたが、ソ連崩壊で北の守りも平時に戻りました。
 東西冷戦を前提にしていた国土防衛は、国際情勢でコントロールされない国に対しては全く無力です。
 北朝鮮に合い口を喉に突きつけられたような現状では、冷静な議論がなされず、日本が軍国主義化される危険性を感じます。
 先ず、外交努力を積み重ね、北朝鮮に失う物が如何に多いかを納得させることが重要です。
 アメリカの金融制裁が北朝鮮を疲弊されている現状に、さらに日本、韓国からの援助が絶たれるたら、北朝鮮には中国の属国になるしか生き残る道がないことを、北の将軍様に実感させることが大切です。
 中国の属国になったら、いかなることが起きるかは、朝鮮半島の歴史が示すとおりです。北の将軍様には中国の傀儡になって生き残る道しか残されていません。
 逆に、核開発を諦め、ミサイルの発射実験を止めるならば、リビアのカダフィ大佐のように国際社会の中で生き残る道が残されていることを理解させるべきでしょう。
 いずれにしろ、北の将軍様は最後のカードを切ってしまったのです。中国の属国として生きる残るか、国際社会の一員として生き残るか、彼自身が決断すべき時が来ていることを、日本は彼に理解させなくてはなりません。