2006/07/11

財政再建を進めよ

 小泉政権最後の「骨太の方針2006」が発表されました。11兆~14兆円の財政削減を目指す意気込みですが、自民党、官僚などの抵抗が激しく、どこまで実現されるかは次期総裁次第だと思われます。
 小泉首相の「財政出動はせず、赤字国債発行枠30兆円」に対し、亀井静香氏は「真水10兆円、事業規模で50兆円、国債を発行し内需を拡大する」と公約し、総裁戦を戦いましたが敗北し、郵政選挙で抵抗勢力は自民党から一掃されました。
 もし、亀井静香氏が勝利していたら、赤字国債発行は100兆円の大台に乗った可能性があります。さらに、民間企業が財政出動に依存する体質から抜けられず、景気が回復しなかった可能性が高かったと思います。歴史に「もし」はないと言われますが、日本は旧ソ連のように破綻していたかも知れません。
 国民は財政支出を伴う「箱物行政」に疲れています。高速道路、新幹線、空港などは狭い日本に十分行き届きました。特殊法人などの不要不急なものに税金をつぎ込むことにも疲れてきました。非効率な役所には怒りを覚えています。
 国民は税金を本当に必要なところに効率よく注ぎ込んで欲しいのです。政府が本当に15兆円近く財政削減をするのなら、消費税を2桁にすることも納得できます。私たちの時代にした借金を次の世代に先送りすることは許されないと感じているからです。
 私は非課税所帯の扶養家族です。収入は障害年金だけです。家内の収入と合わせても、今はやりの言葉で言えば負け組にあたりますが、夫婦で一日1000円あれば十分に満たされた食事を取ることができます。それ以上、何を望むかは人それぞれの生き方の問題ですが、欲求が満たされなければ負け組であると言う考えは、一度否定されたバブル時代の価値観の焼き直しのように思えます。
 私たち夫婦は、生活必需品にかかる消費税が配慮されるのならば、消費税が2桁になっても十分に生活することができます。現在の経済状況が続くように十分に配慮されるのならば、消費税を上げる道が模索されても良いだろうと思います。
 むしろ、与党の参議院選挙対策として財政の規律が失われることに懸念を感じます。滋賀県知事選挙の結果を見れば、市民は「箱物行政」に対し「もったいない」を感じてきているのです。政治家が利権の地元誘導が選挙対策だと思っているのならば、市民感覚から乖離していると考えた方がよいと思います。
 政治家が予算の上積みを要求しているのでしょうが、それを許せば参議院選で与党は大敗するでしょう。小泉首相を圧倒的に支持した人々は自民党こそ抵抗勢力だと見なすからです。
 日本が借金漬けになったのは、官僚、政治家、企業などが国を貪ったからです。しかし、彼らを放任した責任は主権者である国民自身にあるのです。少なくとも私たちの世代には次の世代に財政を健全にしてから委譲する義務があります。
 今からでも遅くはありません。財政再建に自民党が正面切った立ち向かおうとしているのです。前回の総裁選挙の時とは、政治状勢が様変わりしたのです。「骨太の方針2006」は不完全かも知れませんが、政権与党が財政再建に大きく梶を切ったことを評価すべきです。次の総裁次第で「骨太の方針2006」は生きもすれば死にもします。総裁選挙に構造改革を支持する国民の意志を反映させましょう。