2006/05/08

ユーザーと呼ばれて 

99/6/26
ユーザーと呼ばれて 私はユーザーあるいは当事者という呼び方には馴染めません。
 とくにユーザーという言葉は、本来の英語の意味からすれば明らかに差別語です。USERと言う言葉は確かに利用者という意味があります。しかしそれは麻薬やアルコールの利用者という意味です。(ランダムハウス、研究社)
 ですから私たちの世代、中年世代が学んだ英語では、USER、ユーザーは薬物依存者と同じ意味で用いられていると感じても不思議はないでしょう。
 私はアルコール依存者ですから確かにUSERであったときがあります。しかし、アルコールを断って18年目になるのに、未だにUSER、ユーザと呼ばれるのは不当です。
 私は一世代前の英語を学びました。ですから、現代の英語の意味がいわゆる精神障害者用施設の利用者という意味を持ってきたのかどうかは知りません。あるいは、向精神薬の利用者という意味でユーザ?と言う言葉を使ったのかもしれません。
 しかし、いずれにしても、英語本来の意味からすれば明らかに間違った用法だと言って良いと思います。この様に、ユーザーという言葉はマイナスの語感を持ちます。差別語と言っても良いであろうと思います。
 向精神薬の利用者という意味を持たせても、向精神薬を麻薬やアルコールと同等のレヴェルに考えていると言われても仕方がないでしょう。
 向精神薬は私たち精神障害者にとってはなくてはならないものです。また向精神薬を飲まなければならないのは、精神障害者の世界では常識です。むしろ向精神薬を拒否する人をいかに説得するのかが精神障害者問題に関わる者の一番の悩みだと言っても良いだろうと思います。
 そのような状況の中で向精神薬を麻薬やアルコールと同じに論じたら、向精神薬を拒否する人を説得できないでしょう。また向精神薬を常用せざるをえない人が薬物依存者と同じレヴェルで論じられるのは不当です。
 医療行為として向精神薬飲む者と、向精神薬取締法で規制されている向精神薬利用者とは明らかに違うのです。この点をはっきりとしておかないと医療行為そのものが成立しなくなります。
 ではなんと言ったらよいのかと言われれば、私は精神保健福祉法により定められた精神障害者であるという表現がよいと思います。これは客観的な基準があるのですから、この様な法的な用法を取り入れたらよいと思います。
 日常生活では、私は普通に精神障害者という言葉を用いればよいと思いますが、これは各自の自由な判断に任せられるべきでしょう。いずれにしろ公的な機関がユーザ?という言葉を使うのは余りにも無神経です。