2006/05/08

障害者自立支援法について 

障害者自立支援法について(06/05/01)ノエル
 障害者自立支援法が4月1日から施行されました。従来の障害により区別されていた障害者サービスを一元的に提供しようとするものです。生活保護を受けている人を除き、自己負担分として10%が求められます。食費も実費を払わなくてはなりませんが、障害年金で生活できる範囲での自己負担です。福祉は無料の世界から福祉も有料の世界へと大きく変わったのです。従来の『福祉はただの世界』から『福祉も自己責任、自己負担が求められる世界』へと変わったのです。
 医療費は生活保護を受けている人は無料ですが、医療費の自己負担が0.5割から1割に増額されました。制度が変わり所得別の負担は分かりにくいのですが、基本的には非課税所帯で扶養家族の障害年金受給者は自己負担の上限2.500円まで求められます。障害年金からすればわずかな負担ですから医療費として自己負担をするのはむしろ当然です。今までがあまりにも恵まれすぎていたのです。
 精神保健福祉法の成立で過去の精神病院に患者を隔離収容する医療から通院主体の医療へと大きく舵を切りましたが、今回の法改正で精神障害者が病院から出て社会の中で生活できるように制度を整えました。先ずグループホームが制度として確立されましたが、一軒の家を借りて6人で生活するとして一人当たり5万円、6人で30万円という報酬では3軒を掛け持ちにしなければ経済的に成り立たないそうです。病院で長い入院生活を送ってきた人たちは衣・食・住が確保されなければその日の生活にも困ります。グループホームの充実が待たれます。
 今回の法改正の目玉は自立支援にあると思われます。自立支援施設には利用者一人当たり10万円以上の報酬が払われますが、利用者に報酬として渡されるお金はその1/10以下です。報酬費よりも利用費の方が高くなり、作業所に通へばお金の持ち出しになるかも知れません。就労施設で訓練を受けて就労できる精神障害者は先ずいないしょう。むしろ利用者の大多数は小規模作業所が憩いの場、団らんの場として機能することを望んでいるのではないでしょうか。精神障害者の求めているのは就労訓練をする場ではなく、気楽に集まれる交わりの場です。
 デイサービス、ショートスティも自己負担が求められますが、障害者の自立を促す施設としてさらに有効に利用されることが求められています。精神障害者の多くは自立イコール就労と錯覚しているように感じられますが、『働かないのではなく、働けないのだ』と言うことを忘れ去っているような気がしてなりません。少なくとも人並みに働くことができるのならば、その人は精神病者かも知れないが精神障害者とは誰も言わないでしょう。障害年金は働けないから支給されるので、働かない人に支給されるものではありません。社会が期待するのは福祉で保障される範囲で、人間らしく生き甲斐を持って生きて欲しいと言うことです。
 精神障害者の自立は町の中で一人でアパートを借り、福祉を十分に活用して人間らしく生きることを目的とすべきでしょう。作業所、デイサービス、ショートスティなどを活用して、生き甲斐探しをしましょう。例え精神障害者であっても『生まれてきて良かった』と思えるような人生を自らの力で造り上げましょう。